「異常なし」なのに、なぜ治らないのか。自律神経と緊張の深い関係

何ヶ月も、ときには何年も続く体の不調。

頭痛、めまい、肩こり、胃腸の不具合、眠れない夜。 病院に行って検査を受けても、結果は「異常なし」。

その言葉に、どこかほっとしながらも、腑に落ちない気持ちになった経験はないでしょうか。

「じゃあ、この不調は何なの?」 「気のせいだと思われているのかな…」

そう感じた方に、最後に告げられることがあります。 「自律神経の乱れが原因です」と。


「自律神経の乱れ」は、原因ではなく結果かもしれない

整体師として長年、体の不調を抱えた方たちと向き合ってきた私には、ずっと腑に落ちないことがありました。

季節の変わり目などに一時的に調子が崩れる場合なら、「自律神経の乱れ」という説明もわかります。でも、何ヶ月・何年も続く不調の場合は、それだけでは説明がつかない。

自律神経は確かに乱れているでしょう。でも、乱れる前に、何かあるはずだと。

現場で多くの方の体に触れてきた実感として、その「何か」は身体の過度な緊張(過緊張)だと思っています。


筋肉と神経は、密接につながっている

身体は、筋肉・神経・骨などで構成されています。 その中でも、筋肉と神経の関係はとても密接です。

神経は、常に筋肉の状態をモニタリングしています。 筋肉がゆるんでいれば「OK、安全だ」と判断する。 でも筋肉が緊張し続けていると、神経は「あれっ、何かあるぞ」と警戒しはじめる。

この状態が続くと、身体は「危険が続いている」と認識し、交感神経(アクセル)が優位になったまま、副交感神経(ブレーキ)がうまく働かなくなっていきます。

つまり、筋肉の過緊張が、自律神経の乱れを引き起こしていると考えることができます。これは、整形外科的な観点からも研究で示されてきていることです。


「一時的な緊張」と「じわじわ続く緊張」は、まったく別物

ここで少し、緊張の「種類」についてお話しします。

たとえば、「今から300人の前で話してください」と言われたとします。 心臓がバクバクして、手が震えて、お腹の調子が悪くなる。 でも、その場が終われば、すーっと楽になりますよね。一時的な緊張は、終わりがあるから身体もゆるめます。

私が問題にしているのは、これとはまったく別の緊張です。

じわじわと、日々積み重なっていく緊張のことです。


思考が、身体をじわじわ緊張させていく

では、何がその「じわじわした緊張」を生み出すのでしょうか。

それは、日々の思考のクセです。

「私には能力がない」 「あの人はきれいでうらやましい」 「いつもお金がない」 「あの人に悪く思われているかもしれない」 「結局、自分には何もできない」

こういった思考が、毎日ぐるぐると頭の中を巡っている方がいます。 本人もなかなか気づかないほど、当たり前になってしまっている場合が多い。

でも身体は、正直です。 思考がネガティブな方向に働き続けると、身体は少しずつ、少しずつ緊張していきます。一気にではなく、ジリジリと


体液の循環が滞り、やがて不調になる

この「ジリジリした緊張」が日々積み重なると、身体の血液やリンパなどの体液の循環が滞りはじめます。

栄養が届きにくくなり、老廃物が流れにくくなり、疲れが取れなくなる。 そのうち、頭痛、めまい、胃腸の不調、睡眠障害…さまざまな症状として現れてきます。

これが、「検査しても異常なし」なのに何年も不調が続く仕組みです。


薬で「楽になる」と「治る」は違う

だから、薬で症状を抑えても、根本は変わりません。

薬は「いま出ている症状」を和らげることはできます。でも、その不調を生み出している身体の過緊張、そしてその奥にある思考のクセには、届かないのです。

火事に例えるなら、煙(症状)を一時的に払いのけているだけで、火の根本はまだ燃え続けている状態です。


根本から変えるには、「緊張の源」に気づくこと

長く続く不調を根本から変えていくには、表面の症状だけでなく、緊張を生み出している習慣や思考に気づくことが必要です。

身体はあなたの生き方を映す鏡です。

不調は「悪いもの」ではなく、「そろそろ気づいてほしい」という身体からのサインかもしれません。

次回は「自律神経が乱れる習慣リスト」についてお伝えします。

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