「40代から、なぜ疲れが抜けなくなるのか」——加齢と自律神経の、知られざる関係

夜勤をされている方が、施術にいらっしゃいます。

「マッサージしても首や肩のこりが取れない」「背中の違和感がずっとある」「健康診断では何も出ないのに、自分ではどこかおかしいと感じる」——そういう方が、特に40代・50代に多いのです。

疲れているのは確かなのに、その疲れの正体がわからない。そのもどかしさ、とても共感します。


加齢とともに、副交感神経が弱くなる

人の身体は、年齢とともに変化します。とくに自律神経の「緩める力」=副交感神経の働きが、10年ごとに約15%低下すると言われており、女性は30〜40代にかけて急激に落ちていくという傾向があります。 liu-method

40代から50代にかけて、交感神経の興奮状態が強まり、副交感神経の働きが徐々に落ちてくるのです。これは心拍数の変動などを計測すると、数値としても確認できることです。 Okazaki-yuai-clinic

若いころは多少無理をしても翌日には回復できた。でも40歳を過ぎたあたりから、一晩の疲れが次の日に持ち越されるようになる——これは気のせいでも、意志の弱さでもありません。副交感神経の「回復力」が、確実に変化しているからです。


夜勤が身体にかけている、見えないコスト

私たちの身体は、太陽の動きに合わせて設計されています。

「昼は活動し、夜は休む」——この当たり前のリズムを、医学的にはサーカディアンリズム(概日リズム)と呼びます。睡眠の周期、体温、自律神経、免疫、ホルモン分泌などの調節を担っているもので、人間がもともと持っている体内時計です。 Suntory Health

ところが夜勤では、このリズムが根本から崩れます。本来は夜に休むべき時間に働き、日中に眠る生活は、ストレスホルモンの分泌を増やし、交感神経が過度に優位な状態を引き起こしやすくするのです。 Shift Life

夜勤の賃金が高く設定されているのは、それだけ身体へのリスクがあるからだと、私はずっとそう思っています。

若いうちは身体のエネルギーがそのリスクを吸収してくれます。でも40代を過ぎると、吸収しきれなくなってくる。それが「疲れが取れない」「なんとなくおかしい」という感覚として表れているのだと思います。


緊張が続くと、自律神経はコントロールを失う

夜勤が続くということは、身体が長期間にわたって「緊張状態」を維持し続けるということです。

緊張そのものは、悪いものではありません。でも、緩む時間がなく緊張が積み重なり続けると、やがてそれは過緊張になります。

自律神経は本来、緊張と弛緩のバランスをとる「調整役」です。ところが過緊張が常態化すると、自律神経自身がどうコントロールすればいいかわからなくなってしまう。

これが、検査では異常が出ないのに「なんかおかしい」という状態の、正体だと私は思っています。


一時しのぎでは、芯の緊張は取れない

エナジードリンクは、覚醒感はあっても疲れを回復するものではありません。

お酒は、気持ちを紛らわせてくれることはあっても、身体の深い緊張を解放するものではありません。

睡眠不足と肩こり・腰痛は互いに影響し合う関係にあり、悪循環から抜け出すことが難しくなることも、研究から明らかになっています。 Careritz

ジムで汗をかくことはまだ良い面もありますが、それだけでは身体の芯にある緊張は取れないことも多い、というのが施術現場での実感です。

必要なのは「発散」ではなく、身体が本来持っている「緩む力」を取り戻すことです。


あなたの疲れは、「意志」の問題ではない

社会のために夜も働いてくださっている方に、「もっと休んでください」と簡単には言えません。生活のために続けなければならない現実があります。

だからこそ、せめて知っておいてほしいのです。

あなたが感じている疲れや不調は、あなたが弱いのではなく、身体の仕組みに反した生活を続けていることへの、正直なサインだということを。

そしてその緊張は、適切に関わることで、必ず変えていくことができます。

身体は、あなたが思っているより、ずっと回復しようとしています。

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