人混みでいきなり「パクン」と始まる動悸。それから不安に襲われて動けなくなる

はじめてのご連絡は、LINEでした。
「ネットで探して知りました。更年期なのか、ストレスなのか、自律神経が乱れている気がしています。一番つらいのは『動悸』で、それに伴って不安感もあります。あとは腰痛や冷えも」
こう書いてくださったのは、50代の女性でした。
予約を取り、初めてお会いした日。勇気を持って来られたんだろうな、といつも思います。病院は行きやすくても、整体院は「怪しさ」もあって、案外足を運びにくいものです。それでも来られるというのは、それだけ悩みが深いということです。
「パクン」と始まる動悸の正体
「動悸」と一言でいっても、様子は人それぞれです。詳しくお聞きしていきました。
胸のあたりが「パクン」となる瞬間があるそうです。その途端、彼女は立ち止まります。「うわっ、始まった」—どんより重い気持ちになる。血の気がすっと引いていき、そのうち立っていられなくなる。人前だろうがどこだろうが、うずくまるしかない。それでも、誰かに助けを求めることはしないそうです。ただ一人で、耐える。
新大阪駅のホームで起きたこと
一度、こんなことがあったといいます。新大阪の駅のホームで、動悸が始まった。これから地下鉄に乗り換えなければいけない。でも、このままでは乗れない。彼女は持っていた頓服薬を飲むために、トイレに駆け込んだそうです。
思い当たることといえば、15年前から指摘されていた高血圧。数値は上が150、下が100。コレステロールも一時期高かったけれど、今は食事に気をつけて落ち着いている。
「こんな状態では、遠くに行けない」
彼女には、会いに行きたい人がいました。でも、行こうと決めた時点で戸惑いが始まります。行けるかな、ダメかな、どうしよう。行きたい気持ちはあるのに、決められない。実際、無理をして行った大阪であの経験をしてから、彼女はもう遠出ができなくなっていました。私のところに来られたのは、体を緩めることで、また会いに行ける可能性を探すためだったそうです。
病院では「異常なし」。それでも消えない不安
病院にも行かれました。内科も、婦人科も。心臓の検査結果は「異常なし」。
ホッとするのも束の間、「だったら、どうして?」という思いがまた押し寄せてきます。
「突然死するんじゃないか……」
そんな不安と隣り合わせの毎日。抗不安薬も処方されていましたが、頓服として、必要なときだけ。
気づかないうちに緊張し続けていた体
お仕事のストレスについて聞くと、「特にない」とおっしゃいます。けれど、人と向き合う場面が多いお仕事です。緊張する瞬間は少なくないはずでした。実際に検査をしてみると、常に緊張状態にあることがわかりました。カラッとした、男勝りとも言えるような雰囲気の方でした。
「離婚されたんですか?」
数年前の変化について、私が尋ねると、彼女は「そうです」とだけ答えました。声は淡々としていましたが、顔はふっと曇りました。もう思い出したくない—そう言っているような表情でした。それ以上、深くは聞きませんでした。
施術の中で見えてきた変化
施術を重ねていく中で、変化が見え始めました。淡々として気丈な彼女が、体がゆるんだ瞬間だけ、ふっと女性らしい柔らかい表情になる。時には涙ぐむこともありました。2回目の施術で、検査によって脱力できていることが分かったときは、ご本人が一番驚いた顔をされていました。
動悸が落ち着いてくると、今度は「足が冷える」と言い始めました。これは、良くなっている証拠でもあります。
ある日、彼女は笑顔でこう言いました。
「新大阪に行っても、なんともなかったです! 行けました!」
淡々としていた人から出た、その笑顔。私もこみ上げるものがありました。頓服薬も、いつの間にか飲まなくなっていたそうです。
セッション終了、それでも残った問い
最終的に、私からお伝えしました。
「もう来なくて大丈夫です。一旦終了です」
彼女は「肩こりが少しあるくらいです」と、穏やかに答えてくれました。
セッションの中で、思考の話に触れようとしたことも、何度かありました。ただそのたびに、彼女はどこか心配そうな表情を見せました。「動悸さえなくなればいい」—そうおっしゃっていました。人の心と体に関わる仕事をされてきた知識と経験があるからこそ、なのかもしれません。
動悸は、確かに治まりました。体は、緩みました。
けれど、なぜあれほどまでに緊張し続けなければならなかったのか。その問いには、まだ、誰も触れられていません。
彼女の対面セッションは一旦終了しましたが、課題は残った感があります。「なぜ、ここまで緊張していったのか」「なぜ動悸が起こるほどだったのか」—彼女は多くを語らなかったので、はっきりとはわかりません。ただ、それだけの緊張を抱えてしまう何かが、必ずあったはずです。
こうした「原因のわからない緊張」は、彼女だけの話ではありません。これまで1,500人以上の方と向き合ってきて、何度も出会ってきたパターンです。
もし、同じような動悸や不安を抱えていて、一人で抱え込んでいる方がいらっしゃれば、まずはお気軽にご相談ください。
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