「自律神経を整える」のをやめると、体が楽になる理由

呉市で整体院をしている岩野です。
「自律神経を整える」という言葉を、最近あちこちで目にします。
SNSの投稿にも、本や雑誌の見出しにも。スーパーに行けば、「自律神経を整える」とうたった食品まで並んでいます。
院でも、「自律神経を整えたくて来ました」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
ただ、これだけ広く使われている言葉なのに、「自律神経が整う」とはどういうことなのか、きちんと説明されることはあまりありません。
今日は、その仕組みを、できるだけやさしくお話しします。
体の中に「一つのスイッチ」があるわけではない
以前は、自律神経はこう説明されていました。
交感神経が働くと、体全体が活動モードに。
副交感神経が働くと、体全体が休息モードに。
けれど今では、もっと細かい仕組みだとわかっています。
心臓、胃腸、血管。臓器ごとに別々の調整つまみがあって、それぞれが細かく動いているのです。
だから、心臓は落ち着いているのに、胃腸だけが緊張している、ということも普通に起こります。
「夜は眠れるのに、お腹の調子だけがずっと悪い」
「検査では何も見つからないのに、体のどこかが重い」
院でよく伺うこうしたお悩みも、この仕組みを知ると、少し見え方が変わるかもしれません。
数字より、体の感覚のほうが正直
自律神経の状態を、心拍のゆらぎで測る方法があります。
ただ、そこでわかるのは主に心臓への指令で、測ったときの状態によっても大きく変わります。数字は、ひとつの目安です。
それよりも、ご自分の体の感覚のほうが、ずっと正直に今の状態を教えてくれます。
息が浅くなっていないか。
肩やお腹に、力が入っていないか。
手足が冷えていないか。
頭の中で、同じことをぐるぐる考えていないか。
施術でお体に触れていても、こうしたサインは本当によく表れています。
頑張って整えようとするほど、体は休めない
自律神経は、自分の意志とは関係なく働く神経です。
ですから、「よし、整えよう」と思って整えられるものではありません。
むしろ、「整えなきゃ」と力を入れること自体が、体を緊張させてしまいます。
まじめな方ほど、呼吸法やストレッチ、サプリメントまで、言われたことを一生懸命に続けておられます。それでも楽にならないのは、その「頑張り」が、休みたい体の邪魔をしていることがあるからです。
私たちにできるのは、
・呼吸が浅くなっていると気づくこと
・力みや、頭のぐるぐるに気づくこと
・体を緊張させ続けている考え方から、手を離すこと
「整える」のではなく、「整うのを邪魔しない」。これが、いちばんの近道です。
サウナの「ととのう」に隠れているヒント
サウナで「ととのう」という言葉がありますね。
熱いサウナと冷たい水風呂のあと、ふっと緊張がほどけて、体が軽くなる。
私はこの感覚に、大きなヒントがあると思っています。
サウナの熱の中では、ものを考える余裕がありません。つまり、頭の中のおしゃべりが止まるのです。
考えが止まったから、体が自分の力で整った。
ただ、サウナを出て、いつもの考え方に戻れば、体もまた元の緊張へ戻っていきます。サウナの効果が長続きしないのは、このためです。
体を治しているのは、体そのもの
私は53歳でこの仕事を始めました。きっかけは、自分自身のパニック症状です。
そのとき出会った師匠から、こう教わりました。
「身体は他人が治すものじゃない。本人が気づいて、自分で戻っていくものだ」
自律神経の仕組みを知るほど、この言葉の意味がよくわかります。
体は、もともと自分で整う力を持っています。それを邪魔しているのは、多くの場合、毎日くり返している「考え方のクセ」です。
だから、回復の入り口は、何かを足すことではありません。
「あ、今、頭がぐるぐるしているな」
「肩に力が入っているな」
そう気づいて、手を離すことです。
気づいて、手を離すために
とはいえ、「考えから手を離す」のは、簡単ではありません。手を離そうとすると、かえって考えてしまうものです。
そこで私は、自分への「問いかけ」をおすすめしています。
気づく、問う、答えを急がずに保留する、そして委ねる。
この4つのステップを、ご自宅でひとりでも続けられるように、noteに記事としてまとめました。
院で直接ご相談されたい方は、公式LINEからお気軽にどうぞ。
今夜、寝る前にひとつだけ。
「今、私の体は、どこに力が入っているだろう?」
答えは出なくてかまいません。気づけたら、それで十分です。
