「肉体労働で鍛えた体」の持ち主が抱えていた「体がだるくて動けなくなる」の謎

電話越しに聞こえた、小さな不安

最初のご連絡は、お電話でした。

「体がだるくて、理由がわからないんです」

そう話される声には、不安がにじんでいました。仕事を休んだり、早退したり。だんだん何もする気になれなくなってきている、とのことでした。

ご相談くださったのは、50代の男性。内装工事の職人さんです。がっちりとした体格で、日々重いものを持ち、無理な姿勢での作業もこなす。まさに「肉体で鍛えた体」の持ち主でした。見た目だけなら、体調不良といちばん縁遠いタイプです。

「異常なし」、それでも消えない違和感

しかし数年前から、朝目覚めたときに体が起き上がらなくなる。そんな症状が繰り返すようになったそうです。一度そうなると、回復に2日ほどかかる。個人事業主の彼にとって、これは死活問題でした。

病院にも行きました。検査結果は「異常なし」。「肉体疲労でしょう」と言われたものの、ご本人はいままでの疲れとは違う何かを感じていました。きっかけを探そうと日記もつけてみたそうですが、それでも見つからない。不安が増すにつれ、眠れない日も増えていきました。

緊張度検査でわかった、脱力できない体

うちにいらしたとき、まず行うのは緊張度の検査です。結果は、体はかなり緊張した状態にありました。「まさか」という表情をされたのが印象的でした。体力には人一倍自信があったのに、力を抜くことができていなかったのです。

耐えられない、力が抜けない ―それはつまり、いつも体に力が入ったままだということ。「脱力」できていない状態です。この積み重なった緊張こそが、原因のわからない不調につながっていました。

毎週の施術で見えてきた変化 ― そして新たな痛み

「脱力」は、一度の施術ですぐに戻るものではありません。緊張は、長い時間をかけて体に積み重なってきたものだからです。

彼は納得して、毎週通ってくださるようになりました。何度も戻っていた緊張が、やがて戻らなくなっていく。「朝の不調はなくなった」と話してくださるようになった頃、今度は腰の痛みを訴えるようになりました。

これは、うちではよくあることです。全身が緊張しているときは気づけなかった部分的な不調が、体がゆるみ始めると顔を出してくるのです。

出張前に取り戻した、笑顔と安心

数ヶ月後、彼には長期の出張が控えていました。セッションを重ねるうち、無骨だった表情に笑顔が増え、趣味の話もしてくれるようになりました。

「精神面も体も良くなった。チームに迷惑をかけずに仕事ができそうです」

そう言って、彼は出張へと旅立っていきました。

それでも残る、たったひとつの問い

ただ、私の中にはまだ、ひとつの問いが残っています。

「なぜ、彼の体はそこまで緊張していたのか」

体の緊張は、結果です。その手前には、必ず「思考のクセ」があります。彼自身、少し話をしたときに「思い当たることがあるかもしれない」と言っていました。

もし今、理由のわからないだるさや不調を抱えているなら。それは気合や体力の問題ではなく、日々の「考え方のクセ」が体に緊張として溜まっているだけかもしれません。

まずは、自分がどんなときに力んでいるか。そこに目を向けることから、始めてみませんか。

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