信用と信頼は、語るものではなく積むもの|ネットワークビジネスに乗らない理由

よく、ネットワークビジネスに誘われる
向こうから、すっと近づいてくる。「話を聞いてください」と言われれば、たいてい察しはついていても、いちおう聞きます。商品が良ければ、買うこともあります。でも、そのビジネスそのものには、まず乗りません。
これまで、ほんとうにいろんなものを見てきました。一度は売る側に回ったこともあります。権利収入が入る、お金持ちになれるチャンスがある——そう言って口説かれます。
仕組みは、どれもよくできている
でも、仕組み自体はどれも同じです。下に人を増やして、その人たちに売ってもらって、上に収入が入る。これはネットワークビジネスに限った話じゃありません。保険も、通信も、化粧品も、世の中のビジネスはたいていこの形です。違法でもなんでもない。仕組みそのものは、よくできていると思います。
では、なぜやらないのか
理由は、仕組みじゃありません。人の欲望が、まじまじと見えてしまうからです。欲望は誰にでもあります。私にもあります。問題はそこじゃない。その人の「言葉」と「行動」がズレているところに、どうしても違和感を感じてしまうのです。
「話を聞いてください」と頼んでくる。聞いて、「お断りします」と返すと、ぱたっと連絡が来なくなる。自分に得がなければ、はい、さようなら。こっちの状況なんておかまいなしに、自分の話だけをして帰っていく。
しかも後日、こちらから別の用件で連絡すると、「今、忙しくて」と返ってきたりします。
人間関係は、結局のところ信頼関係
信頼のない相手からは、どんなに良いことを言われても、動きません。
私は長く営業の世界を歩いてきました。だから思います。ネットワークビジネスは、営業の中でもかなり難易度が高い。会社という大きな傘がない。本人の信用と信頼が、どの角度から見てもしっかりしていないと成り立たない商売です。——まあ、信用と信頼が大事なのは、どんな仕事でも同じですが。
だから正直に言うと、素人がいきなり手を出すものじゃないと思っている。
成功できるのは、相当な強者だけだ。すでに有名で、人的ネットワークを持っていて、その人が「いい」と言えば人が動く——そういう信用をもとから持っている人。そういう人なら、たしかに成り立つ。
でも、その看板も土台もないまま飛び込んで、知り合いに片っ端から声をかけて、断られて、関係まで失っていく。そういう人を、私は何人も見てきた。
そこに気づかないまま、平気で相手の領域に踏み込んで、断られた途端につれなくする。
「なんで、あなた自身の言葉で言わないの?」
私も個人事業主です。信用と信頼を粗末にしたら、あっという間に終わる。それが身にしみてわかっています。発信も、お客様対応も、失敗を重ねながらここまで来ました。
そういう私に、儲け話をしてくる。そのうえで、「人間関係は信用と信頼ですよね」とかぶせてくる。経営とは、人としてのあり方とは——そういう有名な方の講演があるから、ぜひ聞いてくれ、と言う。
正直、思います。「なんで、あなた自身の言葉で言わないの?」と。立派な人の話なら、こっちはもう何人ぶんも聞いてきました。
その「違和感」は、身体が先に出した答え
最後に、整体師としてひとつだけ。
あの違和感は、頭で考えて出てくるものじゃありません。身体が先に教えてくれます。言葉と行動がズレている人を前にすると、なんとなく胸のあたりがざわつく。肩に力が入る。その場から早く離れたくなる。あれは、身体のセンサーがちゃんと働いている証拠です。
理屈であとから「いい話かもしれない」と上書きする前に、身体はもう答えを出している。その小さなサインを、私はわりと信じています。
信用と信頼は、語るものじゃなくて、積むものです。
