「まだ起きていない未来」を考えるだけで、身体は固まる。整体師が現場で気づいた脳のクセと緊張の正体

「また身体が固まってる…」と感じるとき、その原因、実は頭の中にあるかもしれません。整体師として長年、身体に触れてきた私が気づいた、脳・思考・自律神経のリアルなつながりをお伝えします。

最初の疑問:なぜ、身体は緊張し続けるのか?

整体を学び始めた頃、私は「身体」と「思考」を完全に別のものだと思っていました。肩が凝っているなら肩に問題がある、腰が痛いなら腰が原因。そんなふうに、ずっと考えていたのです。

でも、お客様と向き合う時間が積み重なるにつれ、ある疑問が浮かんできました。
「なぜ、身体は何度も緊張を繰り返すのだろう?」

やさしく触れることで、見えてきたこと

私の施術の基本は、微弱な力でそっと触れることです。強い刺激ではなく、弱い刺激のほうが神経を活性化しやすい。これは私が施術を通じて何度も体感してきたことです。

やさしく触れると、身体がふっとゆるむ瞬間があります。「力を抜いてください」と言葉でお伝えするより、ただそっと触れるだけで、身体が応えてくれる。神経というのは、そういうものだと実感しています。

神経にアプローチすると、身体がゆるんでいく。そこで気づいたのです。「神経は伝達路に過ぎない。その指令を出しているのは、だ」と。

この考えをさらに確かなものにしてくれたのが、神経反射の研究で知られる小波津祐一先生の考え方との出会いでした。自分がやってきた施術への確信が、ぐっと深まった瞬間でした。

不調の原因は「そこ」じゃないかもしれない

以前の私は「痛みのある場所に原因がある」と思い込んでいました。でも少し引いて考えると、身体全体をコントロールしているのは脳です。脳に変化が起きれば、身体も変わる。

そう気づいてから、施術中にお客様の言葉をもっとていねいに聞くようになりました。すると、繰り返し身体が緊張する方には、ある共通点があることに気づきはじめたのです。

緊張が続く人に共通していたこと

施術を重ねるなかで、はっきりと見えてきたことがあります。身体が慢性的に緊張している方は、不安・恐怖・怒り・プライドといった感情を抱えている時間がとても長い、ということです。

これらの感情は、交感神経——いわゆる「戦闘モード」の神経——を高ぶらせます。交感神経が優位になると、筋肉は緊張し、血流は滞り、身体はどんどん固くなっていきます。

お客様とお話ししていると、「最近ずっと不安で」「何かと気になってしまって」とおっしゃる方ほど、身体の緊張が根深い印象があります。施術でいったんゆるんでも、日常に戻ると元に戻りやすい。それは身体だけの問題ではない、と感じていました。

身体を固めていたのは「まだ起きていない未来」だった

では、なぜその感情が繰り返し出てくるのか。私が行き着いた答えは——思い込みでした。これは、私自身の話でもあります。

  • 「〜しなければならない」
  • 「こうでなければおかしい」
  • 「テレビで言ってたから、きっとそうだ」
  • 「あの人が言ったんだから、間違いない」

まだ起きてもいない現実を、頭の中で勝手に想像しては、ひとりで不安を膨らませていたのです。

不安そのものは悪いことではありません。不安は命を守るために必要な感情です。目の前の事実に対して不安を感じるのは、ごく自然なこと。

でも、多くの場合、私たちはそこで止まれない。「もしかしたらこうなるかも」「最悪の場合は?」「あの可能性は?」——事実の不安が、いつの間にか妄想に変わっていく。起きるかどうかもわからない未来を、延々と考え続けてしまうのです。

この「妄想」のループに入っているとき、身体はずっと臨戦態勢のまま。現場で何百人もの方の身体に触れてきた実感として、思考の緊張と身体の緊張は、確かにつながっています。

身体を緊張させていたのは、その妄想だった。

それに気づいたとき、整体という仕事の意味が、私の中でまったく変わりました。身体の不調の原因は、施術台の外——日常の思考の中にある、と。

次回は「自律神経が乱れるとどうなるか」についてお伝えします。今日の内容が、ご自身の身体を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。

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