動悸の裏に隠れていた“体の緊張”──更年期や自律神経の乱れだけでは説明できない理由

■ 「この先どうなるんだろう」という不安の中で
先日、50代の女性とセッションをしました。
主訴は「動悸」。
それに伴って、「この先どうなるんだろう…」という不安感に覆い尽くされているとのことでした。
彼女は医療従事者として健康や病気の知識を持っています。
それでも、自分の動悸の原因が分からない。
更年期?自律神経の乱れ?それとも別の何か?──そんな戸惑いの中で来院されました。
■ 検査で異常がないと言われたときに
「原因と結果の法則」という書籍をご存じでしょうか。
タイトルのとおり、「結果」には必ず「原因」があるという考え方です。
検査をしても異常がないとき、よく「自律神経の乱れですね」「季節の変わり目でしょう」と言われることがあります。
なかには「気のせいです」と言われてしまう方も。
けれども、何の原因もなく突然動悸が起きることはありません。
そこには、目に見えない“体の反応”があるのです。
■ 背中から伝わる「全身の緊張」
施術で背中に触れた瞬間、私はすぐに分かりました。
彼女の体は、全体が硬く、常に緊張している状態でした。
「最近、何か出来事などありましたか?」と尋ねても、
「うーん、特に思い当たらないんです」とのこと。
人にはそれぞれ個性があります。
なかには、ご自身のことをあまり語られない方もいます。
それでも、体は正直です。
長期間の精神的ストレスやプレッシャーを、無意識のうちに体が受け止めてきたのだと思われます。
■ 更年期も、自律神経の乱れも「結果」にすぎない
更年期障害や自律神経の乱れという言葉があります。
しかし、それらは“結果”であって“原因”ではありません。
実際には、体の緊張が続いていること自体が、ホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こすのです。
つまり「体の緊張」が根底にあるのです。
■ 思考のクセに気づけると、再発しない体へ
もし、ストレスの根にある出来事を少しずつ話していただけたなら、
その出来事にどんな「思い込み」や「思考のクセ」が隠れているのかが見えてきます。
そして、ご本人がそのことに気づけたとき、
体の緊張は自然とほどけていきます。
私はそのような場面を何度も見てきました。
■ 「動悸がしない日」が増えてきた
施術を重ねるうちに、彼女の動悸はほとんど出なくなってきました。
まだ油断はできませんが、このまま症状のない日が続くことを願ってやみません。
“体の声”を静かに聴くこと。
それが、不安を超えていく第一歩なのだと思います。
■ まとめ
動悸の原因は「更年期」や「自律神経の乱れ」と言われることが多いですが、
実際には「体の緊張」というシンプルな現象が根底にあります。
体の緊張がゆるむと、
心も安心し、呼吸が深くなり、不安も静まっていきます。
もし、原因不明の動悸や不安にお悩みでしたら、
一度、“体の緊張”という観点から見直してみてください。
