引きこもり・不眠を抱えた青年が「農業で社会復帰」へ──整体で気づいた“本来の自分”

現在、当院には一人の青年が通ってきています。
彼は大学を卒業後、すぐに就職したものの、会社という組織に馴染めず退職。そこから約2年間、家に閉じこもる生活を続けてきました。

その後、精神的に不安定な状態になり、身体にも不調が現れはじめ、不眠に悩むように。
心療内科を受診して睡眠導入剤を処方されましたが、約1年半の服用でも改善は見られなかったそうです。

当院のことは、お母様が先に通われていたことがきっかけで知ってくださいました。
ただ、初めはかなり来院に抵抗があったようです。とてもシャイで口数の少ない彼ですが、数回のやり取りを通じて、真面目で誠実な人柄が伝わってきました。

真面目だからこそ、社会に出られない自分に焦っていた

彼は「働きたい気持ちはある。でも体が動かない。眠れないことで頭がぼんやりして、外に出るのが怖い」と語ってくれました。

私は、まず身体をゆるめる「脱力」に特化した整体を始めました。
彼自身、半信半疑だったと思いますが、週に一度、真面目に通ってくれました。
最初の5回ほどはほとんど変化が見られず、「意味がない」と感じても不思議ではない状況でしたが、彼は決して投げ出さず、静かに通い続けてくれました。

「本当の自分は、どんな人間だと思う?」

彼との会話の中で、徐々に「本来の自分とは何か?」を一緒に見つめ直す時間を持ちました。

話を聞くうちに、彼は「なぜ大学に行かなければならなかったのか」「なぜ企業に就職することが正解だと思っていたのか」といった疑問を、密かに抱えていたことがわかりました。

それでも、まわりに流されるように進学・就職という道を選んできた。
そんな自分に違和感を覚えながらも、「流されてきた」と彼は言います。

私は彼の話を聞きながら、自分自身のことを思い出していました。
34年間の会社員時代、私もまた、集団の中で働くことに違和感を覚え続けていたからです。

「農業をしてみたい」──心に浮かんだ新しい選択肢

あるとき私は、「何かやってみたいことはある?」と尋ねました。

しばらく考えた彼は、「農業をしてみたいかもしれません」とぽつり。
祖父母が農業をしていたことが印象に残っているそうです。

とはいえ、まったくの未経験。どうやってその道に踏み出せばいいのかもわかりません。
そこで私は、彼のセッション外の時間を使って、情報を探してみました。

すると、当院に通われている別のお客様から、「農業に取り組む若者を探している青年実業家がいる」という情報をいただきました。

すぐに面談をセッティングし、彼の状況を丁寧に伝えると、実業家の方は快く理解してくださり、農地も見せてくれました。

そして彼は「やってみます」と、新しい一歩を踏み出したのです。

太陽の光を浴び、汗をかくことで身体と心が変わりはじめた

今、彼は真夏の暑さのなか、祖母から借りたクワを手に草刈りから始めています。
便利な機械もなく、すべて手作業ですが、太陽の下で汗をかく日々を送り始めた彼の様子は、以前とは明らかに違ってきています。

実際、夜に眠れる時間が増えてきており、当院での施術でも「脱力」の感覚が身体に定着してきたのを感じます。
特に、目の輝きや声のトーンに変化があり、身体が“治りたがっている”ことが伝わってきます。

社会復帰ではなく、「自分の道を生きる」という選択

農業という道は決して楽なものではありません。
むしろ、会社員の方が安定し、楽に感じる場面も多いかもしれません(私自身の経験からもそう思います)。

それでも彼は、自分の意志でその道を選びました。
そしてそれは、誰かに「戻らされた」社会復帰ではなく、「自分で選び取った」生き方なのだと感じています。

最後に

誰しも、人生で立ち止まってしまうことがあります。
けれど、それは「終わり」ではなく、「新たに始めるための準備期間」なのかもしれません。

彼のように、自分のペースで回復し、自分の手で未来を切り拓いていく人が、これからもっと増えていきますように。
私もまた、その一歩一歩を見守っていきたいと思います。


心整体 いきいき堂では、心と身体のこと、楽しむこと、日々のこと、私の想うことなど、ブログ更新していますので、お時間許せばぜひご一読ください。最後までお読みくださり誠にありがとうございました。

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