老子の言葉に「無為自然」という言葉がある。この「無為自然」は、私たちの教えである心整体法の思想の根幹でもある。「無為」とは、単に何もしないでじっとしていることではなく、ことさらな作為や利口ぶったり、小細工を弄しないという意味である。また、「自然」とは自然界の自然という意味ではなく、「あるがままに」といった意味である。私たちはこの言葉を胸に動いている。
簡単にいうと、作為は長続きしない、無理はよそうよ、ということであろう。私たちの社会において、生き方や働き方、健康においてもいえることなのである。
老子は漢文で難しいので、要約した文章を引用してみる。
背伸びして、つま先で立とうとすれば、かえって足元が定まらない。自分を是とすれば、かえって無視される。自分を誇示すれば、かえって排訴される。自分の功績を誇れば、かえって非難にさらされる。自分の才能に鼻をかければ、かえって足を引っ張られる。こんな生き方は、道から見れば、すべて余計なことだ。一般の人さえ見向きもしないのだから、まして道を体得した人物とは関係がない。
無為自然 訳文 老子
私たちは整体業を営んでいるので、とくに健康にあてはめてみるのだが、身体面において「不調になった」、「熱が出た」、「痛みが出た」となったら、すぐに薬に頼る。医師も患者が不調を訴えれば、すぐに薬を処方する。不調になっている原因を探らずに対処しているだけである。ごまかすという言葉が適切かどうかは別にして、薬を常用している場合は、作為的であり、身体に無理をさせているようにしか思えない。
生き方や働き方についても背伸びして、作為的で無理をしてしまっているようにみえる。無理は長続きはしない。メッキはいつか剥がれると思う。あるがまま、「無為自然」であろうと常に思う今日この頃である。
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