手首の痛みは「手首」だけの問題ではなかった

今日は60代の男性との施術セッションでした。
主訴は手首の痛み。
手首を曲げると、親指の付け根あたりに激痛が走る。
親指と人差し指を開くだけでも強く痛む。
身体が思わずすくむほどの鋭い痛みです。
両手とも痛みはあるものの、特に左手が強い。
日常生活の中でも、ふとした動作で「うっ」と声が漏れるような状態でした。
痛む場所より「神経の通り道」を見る
痛む箇所と動作から見て、私は橈骨神経系の痛みだと見立てました。
橈骨神経は、首から肩、腕、前腕を通り、親指側へとつながっています。
つまり
手首の痛みの原因が、手首だけにあるとは限らない
ということです。
検査を進めていくと、全身の脱力がほとんどできていない状態でした。
身体全体が常に「力が入ったまま」になっている。
そこで、手首だけを触るのではなく、
まず全身の緊張をゆるめる施術から入りました。
さらに見えてきた「首のロック」
全身をチェックしている途中、ひとつの大きな手がかりに気づきました。
首が後ろに反らない。
天井を見上げようとしても、顔が上を向かない。
目だけが動き、首そのものが止まっている。
痛みはないのに、これ以上動かないという壁がある。
まるで首が内部からロックされているような状態です。
父親の記憶と重なる不安
彼はふと語りました。
「父は、筋肉が石灰化して強い痛みに苦しんでいました。
自分も、いずれそうなるのかもしれません。」
亡くなられたお父様の記憶と、
自分の首の動かない感覚が重なった瞬間でした。
可能性はゼロではありません。
しかし、今起きている首の硬さは、必ずしも骨の問題とは限らない。
多くの場合、
長年積み重なった筋肉と神経の緊張が、
関節の可動を奪っていることがほとんどです。
手首の痛みと首の動きはつながっている
橈骨神経の通り道を考えると、
首の可動制限
→ 神経の通り道の圧迫
→ 前腕の過緊張
→ 手首と親指の痛み
という連鎖が十分に考えられます。
当面の痛みは、前腕や手首周囲をゆるめることで軽減を図れます。
しかし、根本的な改善には首の動きを取り戻すことが不可欠です。
そのことを丁寧にお伝えしました。
「思考」や「ストレス」は感じにくい男性たち
彼は経営者として長年働いてこられた方。
精神的ストレスが身体緊張に関係しているとは、
ご本人はあまり実感しにくいタイプです。
特に男性は
「気のせい」
「年齢のせい」
「仕事の疲れ」
で片付けてしまうことが少なくありません。
けれど身体は正直です。
語られない年月の負荷が、
静かに筋肉と神経に刻まれていきます。
痛みは「結果」であって「原因」ではない
今回の手首痛も、
突然現れたようで、実は長年の積み重ねの結果です。
そして原因は、
手首よりもっと上流にありました。
身体は必ずつながっている。
この視点を持つことで、
「どこに行っても治らなかった痛み」に
新しい道筋が見えてくることがあります。
もし今、
・手首が痛い
・指を開くと鋭く痛む
・首が動かしにくい
・病院では異常なしと言われた
このような状態がある方は、
痛む場所だけでなく、
身体全体の緊張の連鎖を一度見直してみる価値があります。
身体は、まだ変われます。
