心整体 いきいき堂の岩野です。
このブログでは読書や体験を通じて、心と身体が健やかにいきいきと暮らせるためのヒントやアイデアをお伝えできたらと思います。
今回もカラダに関する本をご紹介したいと思います。
総合法令出版 高岡英夫 著「からだには希望がある」です。

この本は私の師匠であります大阪枚方市の心身楽々堂(整体院)の西田 聡先生から勧められた本でございます。
私どもの整体は筋肉の過緊張をゆるめ、慢性的な筋肉疲労を取り除くことで様々な症状を改善に導くという考えで取り組んでいます。
著者の高岡英夫 先生は「体をゆるめれば変わる」と主張されており、アプローチの仕方は違えど、私たちと同様の考え方だと思っています。
著者は「ゆる」という言葉を創造しています。
冒頭で、あなたはどんな立ち方をしていますか?と問うています。
筋肉が柔らかくゆるんでいることで、パーツ(人骨約200)がゆるゆるにゆるみあってずれ合うように連結している、いわば柔構造をしている人と筋肉を硬く緊張させることでパーツとパーツがぎちぎちに身動き取れないように強固に緊密に不動の連結をしている、いわば剛構造をしている人がいる。

柔構造で立っている人には、優れた能力を発揮し、超一流、世界の最高クラスのパフォーマンスを見せている人が多いと著者は言ってます。
例えば、イチロー、マイケルジョーダン、タイガーウッズ、ヒクソングレイシー、日本舞踊の武原はん、合気柔術の佐川幸義など超一流の方々です。
柔構造の人は、どこかゆらーっとしながら、すっーと天地に伸びている。イチローやタイガーウッズの姿を思い出すと、なんとなくわかる感じがします。

剛構造の人は各関節を取り巻いている筋肉に常時一定の力を入れ続けているようです。例えば、股関節のまわりの筋肉がいくつもありますが、股関節の外側の筋肉にがっちり力を入れ、腰から背骨のまわりの筋肉にも胴体の筋肉にも、いつも力を入れていて、筋肉あるいは筋力で骨と骨をがっちりつないでいる、だから各パーツがずれ合うということは起こりにくい。つまり揺れにくい。
一方、柔構造の人はできるだけ力を抜いて立っている。思い切り単純化して説明すると、右に身体がちょっと傾きかけたら、左側の筋肉だけをちょっと収縮させ、左に身体を戻す。
その瞬間右側の筋肉に力は要らなくなるので、力を抜く。左にわずかでも傾いたところで、右側にちょっとだけ力を入れる。すると、また、身体は右に戻り、またわずかでも身体が右に傾いたら、今度は左にちょっと力入れる。
その角度はわずか0.1度とか2度とか、その程度のものでしょうが、このようなことを全身において絶えず行って、立っている。

著者のいうこと、直感的になんとなくわかる気がします。
私はイチローさんやタイガーウッズさんみたいに超一流のパフォーマンスを出していないし、いつも力が入っている感覚がしていますので剛構造だと思われます。
そう感じる方が多いのではないでしょうか?
ちなみに私は柴犬を飼っていますが、犬はとても柔構造に見えますし、やわらかくゆるっとした感じですよね。・・・著者は犬のことには触れていません 笑

剛構造の人たちは柔構造になりたいですよね。
そこで著者は「ゆる体操」というものを提唱しています。ゆらゆら身体をゆする。骨をゆらす「ほゆる」、筋肉をゆらす「きゆる」、内臓をゆらす「ぞゆる」、それぞれ意識してゆらゆら・・・ゆらゆら。
それだけではありません。「極意」、「呼吸」、「気功」もこの本では解説しておられ、とても参考になることが記されています。
高岡英夫先生は本書の「おわりに」次のようなことを言われています。
ほぼ全文を紹介しましょう。
20世紀末、世界的に閉塞感が生まれ、特に日本ではそれが強く感じられました。この閉塞感の原因には、発達しすぎた工業化社会から生まれる産業廃棄物、自動車、航空機などから吐き出される排ガスなどによって成り立ってきた工業化社会が、地球の資源とエネルギーを枯渇させつつあること、人口が爆発的に増加し60数億にもなって、相対的に地球があまりにも狭くなってしまったことなど、実にいろいろと考えられます。
「フロンティアはなくなった」という言葉が20世紀末どこからも叫ばれるようになりました。1995年代頃は、深海に潜ってみようとか、南極、北極の調査をしてみようとか、地球には未踏の部分がまだあるのではないかという意味での希望がありました。しかし、20世紀が進むにつれて、未踏の地がどんどんどんどん踏破され、地球規模で可能性や希望が急速にしぼんできたのです。
私はそういう時代に生きていて、人間はとても重要なことを忘れているのではないかと思ってきました。それは人間の身体です。といっても、多くの人は、地球という大きな星だったらフロンティアはまだあるだろうけれど、人間の体は大きい人でも日本人で180cm、外国人でも2mぐらいだから、そのどこにフロンティアがあるのか、人間の身体は開発し尽くされているのでは、というかもしれません。
確かに、人はプロを目指すのであれ趣味であれ、10代はいろいろなことに挑戦し、身体がどんどんどんどん変わっていく。スポーツなら身体的能力の向上でその変化が直接にわかるし、楽器の演奏なら身体そのものの変化はあまり感じられないにしても、それに支えられてパフォーマンスの変化を感じられる。でも、20代に入るとその変化に勢いがなくなり、20代後半でもう自分の身体はこのくらいまでかなとあきらめはじめ、30歳になると自分の身体を変えるのはもう終わりかなという感じになります。身体運動としては非常に軽微な書道などでは、30歳を過ぎると、精神的作業としての取り組みはこれからだと思うにしても、身体的にはもう下降線だなと感じている。でもそれが間違っているのです。人間の身体が終わってしまうのは、身体が固まるからなのです。
では、いつ、人間の身体が固まり始めるかというと、第1章でお話したように、実は人間の身体は立ち上がると固まる。赤ちゃんがものすごく柔らかい身体をしているのは皆さんご存知ですよね。その赤ちゃんがたっちをして、手を離して歩けるようになると実は身体は固まり始めるのです。子どもが歩きはじめると親なら当然喜びますが、あれは身体が固まっていく現象でもある。人が成長していく過程は、身体が固まっていく過程でもあるのです。悲しいけれど、これは事実です。そして、固まった分だけ、身体を開発できる部分を失っていく。
でも、世の中には身体が普通の人のように固まらなかった人たち、年齢の割に身体がゆるんだまま育つことができた人たちがいます。誰かというと、野球であればイチロー、野茂英雄、松坂大輔、ゴルフならタイガー・ウッズ、陸上競技であればシドニーオリンピックの女子100m、200mで金メダルを獲ったマリオン・ジョーンズ、女子マラソンの高橋尚子ら、超一流のパフォーマンスを見せている人たちです。そういう人はスポーツに限らず、あらゆる分野にいます。会社の経営者でも優秀な経営者は、そうでない人に比べると必ず身体がゆるんでいます。
ということは、その固まった身体をゆるめる方法が見つかれば、その方法によって人はゆるんだ分だけ、新しく身体を開発できる。ゆるんだ身体をベースにして新しい技術でも能力でも育てることができるのです。さらに本書を通して繰り返し語ってきたように、身体がゆるめば、心にも人間関係にも人生にもプラスの影響が及んでくるのです。ゆるませる方法が見つからないかぎり、人間は成長するに従っていろいろな能力を身につけると同時にどんどん身体を固めていくという発見は、単なる事実の発見に過ぎません。そこから希望は見えません。けれど、その固まりをときほぐしゆるませるという方法が発見されれば、身体を通して一気に希望の世界が開けてくる。それが第1章で紹介したゆるの大きな意義です。そして、ゆるでゆるんだ身体をベースにして、意識や心や人間関係や人生をより豊かなものにするために専門的に展開していくのが、極意や呼吸法や気候のメソッドなのです。
つまり、身体をゆるませる方法が見つかったことで、人類は新たなフロンティアを得たといえます。人間の身体は小さいように見えますが、人一人が取り組むには十分すぎるほど大きくて深くて豊かな世界です。これは、これまで私が多くのスポーツ選手や音楽家らとトレーニングをしてくる中で、つくづく感じさせられてきたことです。いくら取り組み、いくら成果を上げても、尽きることがない。ゆるめばゆるむほど、世界は深く豊かに広がっていく。約50兆ともいわれる人間の細胞の一つ一つ、そしてその細胞の無限ともいえる結びつき全部にフロンティアは深まり広がっていくのです。成果のある取り組みをすればするほど、身体は一生かけても開発し切れない大きな可能性をもったフィールドなのだと感じさせられます。私が身体には希望があるというのは、そういう意味です。
さらに、人間は人と人とのつながりの中で存在しているから人間というのです。ですから、もし一人ひとりの人間に大きな希望が生まれ成果が上がってくれば、人と人との関係もより深く豊かに開発されていき、そこにもフロンティアは生まれてくる。人と人との間に生まれるものは、一人ひとりの人間の持っているものの、いわば掛け算になります。ですから一人ひとりが豊かになれば、人と人を結ぶ関係は信じられないほど豊かになるのです。60数億人が豊かになれれば、どれほど地球は豊かになるでしょうか。人間の体の外側にフロンティアを求め、地球を踏破し尽くすことが必要だった時代もあったでしょうし、これからも地球というものを深く調査し研究しなければならないでしょう。しかし、それと同時に、今は全人類的な問題、人類を構成する一人ひとりの問題として、自分の身体というものを通して自分自身をより豊かに開発していくことが要請される時代に入ったと私は思います。それが21世紀という時代なのです。
20世紀末に、21世紀は精神主義の時代になるという未来予測をする方々が多くいましたが、今世紀は彼らのいう意味の精神主義の時代ではなく、”身体主義”の時代になると私は思います。さらに正確にいうと、身体および身体意識を開発することを通して豊かな精神世界が広がっていく、いわば”人間主義”の時代になってくると考えています。

皆さん、心と身体が健やかにいきいきと暮らせるヒントになりましたでしょうか?
高岡英夫 著「からだには希望がある」
ぜひ、購入してお読みください。
ただし、新本は無いようです。中古本をお探しくださいね。
それでは、また!
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